ゾは深い
ここで伝えるまでもありませんが、期間延長までして交渉が行われていたCBA(労使協定)が締結に至りませんでした。
これによりロックアウトの可能性も高まってまいりました。

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▼ロックアウトとは何?
過去に書いた記事、「労使交渉とロックアウト、いったい誰得よ!?」を読むと、今回の事件の経緯は分かります。
あらためて説明すると、ロックアウトはストライキの逆。つまり操業者(リーグ)が労働者(選手)を働かせないように締め出します。
つまりロックアウトされると2011シーズンは開始されないのです。

ロックアウトされると1年丸まるシーズンが消滅するわけではありません。FA解禁、オフシーズンプログラムと前から順番にイベントが開始できなくなり、締結すればスグに新たな労使協定に基づいたシーズンがスタートします。
ちなみにドラフトは行われますが、選手をトレードに出すトレードアップはできなくなります。

▼決裂後は?
交渉決裂とはこれまでリーグ側と交渉を続けてきた、選手側の代表であるNFL選手会が、これ以上交渉できないと認定を取り消したことで決裂が決定。
決裂後は”トム・ブレイディ”と”ペイトン・マニング”という2大司令塔がフィールド外でも司令塔となり、8選手と共に原告となり、NFLに対して集団訴訟を起こしました。

訴訟の内容はリーグがロックアウトする行為を「反トラスト法違反」、つまり独占禁止法に違反している理由で訴えて、これが通ればリーグ側の切り札であるロックアウトを阻止する事ができるのです。

▼個人的には・・・
とうとう法廷にまで持ち込まれた労使協定問題。
この交渉の最大の焦点となっているのは、リーグの全体収入を選手に配分する際、比率をどの程度に設定するか、という問題。
経費が上がっていることを理由に年俸を抑制したい球団側に対して、その経費の内訳を明示しないので選手へ配当する比率を下げるのに反対する選手側という構図です。

私はどっちもどっちという見方で見てきましたが、リーグ側は要求していた「18試合制の提案」を取り下げて、さらに「選手たちの給与の差を縮める」「ドラフト1巡選手の年俸を押さえ、2巡から7巡指名の選手の年俸に影響を与えることなく、その分をベテランと引退した選手に割り振る」「引退した選手のために新しい基金の設立」など福利厚生案も出して、かなり譲歩しました。

だが選手側はこれに聞く耳を持たず、自分らの主張を曲げずに、一方的に選手会の認定を取り消し。つまり解散し交渉を破棄。
こうなると選手側がオカシイんじゃないかと思わざる得ません。

一昔前とは違い不況ですし、大型テレビの普及が進み、スタジアムに来る観客も減る。だがスタジアムの老朽化で新スタジアムを建設せざる得ないなど、球団の経営状態は苦しいと素人目にも分かります。何よりリーグ側の提案で100%賛成なのが「ドラフト1巡の年俸を抑える」という案です。
以前から思っていましたが、NFLで何にもしていないドラフト1巡が契約しただけで、何十億ももらえるのは間違っているでしょう。ジャマーカス、マット・ライナート、そして我らJETSはゴルストンなど大金払った挙句に使い物にならない選手に球団は大損害を受けているわけです。

一生懸命働いてるのに、給料が減るかもしれないという事に不満を抱くのは仕方ありませんが、選手側も世の状況を把握して、譲歩すべきじゃなかったのかと思いました。