6)10年後・・・まだ事件は終わらない編
民事裁判の評決が出てから10年後の2007年、”O.J・シンプソン”はフロリダ州で2人の子供と悠々自適に暮らしていた。
その理由はNFLとハリウッドから年金として毎年40万ドル(当時のレートで4800万円)を受け取れるのだ。
う、羨ましい・・
(;´Д`)ノ
ということは、3350万ドルもの賠償金を全て支払ったのか?
答えはノー、
どころか賠償請求に応じてなかったのだ!
Σ(・ω・ノ)ノ
シンプソンがフロリダ州に移住した理由が、フロリダでは不動産や資産の差し押さえが出来ないからなのだ。
それを良い事に毎日楽しいゴルフざんまい。
しかし、そんなシンプソンに天罰が下る日がやってくるのだ。
ある日、シンプソンは友人の”トーマス・リッチョ”から「シンプソンが昔獲得したトロフィーや記念品を売りさばいている奴がいるらしい」という電話をもらう。
リッチョは別の友人からシンプソンのグッズに興味がある人間がいないか聞かれ、それがどうやら盗品であり、「この事はシンプソンには言うな」と口止めされたが、リッチョは良い人らしいのでシンプソンに連絡したのだ。
(ここまでは良い人)
シンプソンには心当たりがあり、10年前に民事裁判に敗訴した直後、差し押さえを喰らう前に大事な記念品などを代理人に預けて隠したのだが、それが行方不明になっていた。
この話にシンプソンは激おこ。
リッチョと取り戻す計画を立てることにする。
リッチョがネットを調べるとその記念品を持っている人物がラスベガスにいることが発覚。
シンプソンは来月 友人の結婚式でラスベガスに行く予定があるので、その日にリッチョがそいつらを呼び出し、シンプソン本人に会わせることで弁解の余地なしに盗品を回収するという計画を立てたのだ。
そして、ラスベガスで作戦の決行前、シンプソンとリッチョは5人の仲間を集めて転売ヤーの撃退作成会議を行う。
そこでシンプソンは相手がどんな奴か分からないだけに、仲間に「ヒート(=銃)を用意しろ」と命令する。
当然、仲間は警察に逮捕される恐れがある事を助言するが、シンプソンにはおかまいなし。
自分は被害者であり、盗品を取り返すだけだという勝手な正義感が彼を突き動かしていたからだ。
そして作戦決行。
まずはリッチョが転売ヤーと接触し、ホテルの部屋にシンプソンの記念品を集めておくように指示をする。
そして、シンプソンと仲間たちが部屋へ突入。銃で転売ヤーを制圧して、一網打尽にするのだった!
盗品を取り返し、めでたしめでたし・・
と思いきや、その3日後にシンプソンと共犯者達は逮捕されるのだ!
!∑(゜ Д゜)
またも刑事裁判を受けることになるシンプソン。
自分の身を潔白を訴え、かつ、「銃は使ってない!」と事前に仲間にも口裏を合わせて銃の存在は無かったことにしていたハズなのに、こともあろうと仲間にその日のやり取りを全部録音されていたのだった。
部屋にボイスレコーダーを仕掛けたのは、なんと、きっかけを作った友人のリッチョ!
音声をメディアに売って、大金を稼いでいたのだ!!
リッチョのみならず、銃を用意した友人らもボイスレコーダーを持参。
タブロイド誌に音声を売って儲けようとしていたのだ。
それは友人のみならず、転売ヤーも考えることは同じで、シンプソンらが盗品を回収した直後に連絡したのは、警察で無くメディアだった。
O.J・シンプソンとは周りの人間にとって、金の成る木でしか無かったのだ。
(´・ω・`)
もはや友人でもなんでもない。
さらに共犯者ら司法取引に応じて、シンプソンが不利になる証言をし続けた結果・・・
シンプソンは第一級強盗罪で有罪。
監禁、脅迫など12の罪で懲役9年~33年の刑が言い渡されたのだ。
奇しくも有罪評決が下った10月3日は、弁護士軍団の力で無罪を勝ちとった日と同じなのだ。
とうとう収監されたO.J・シンプソン。
これを重く見たアメフト協会は公式ストアでのシンプソンのジャージの販売を停止した。
7)O.J・シンプソンの最後
時は流れて、事件から9年後の2017年にシンプソンは仮釈放されるも、フロリダの自宅は売却済でラスベガスに移住。
たびたびSNSでその姿を映されるも、いまだに被害者への賠償には応じていなかった。
∑(゜ Д゜)
結局支払ったのは、13万2000ドル(現レート2080万円)のみ。
賠償額には毎年、10%の利子が加算されるので、約1憶ドル(現レートで約150憶円以上)が未払いなのだ。
かつての栄光を全て失ったどころか、借金漬けのO.J・シンプソン。
2024年4月10日に前立腺ガンにより死去したことを家族がSNSに投稿。
NFLからの追悼セレモニーは無く、家族葬でひっそりと葬られたのだった。
未払いの賠償金に関しては、今後シンプソンの代理人とゴールドマンの父の間で話し合いが行われていくとのこと。
以上が、O.J・シンプソン事件の全貌でした。
総評
細かい所はカットしましたが、これが仰天ニュースの2時間スペシャル枠をフルに使って紹介されたO.J・シンプソン事件です。
何にしても最初の裁判が引っかかりますよね。
アリバイや物的証拠があったとしても、それを作戦でひっくり返せるのが、最強弁護士軍団。
本人らもシンプソンが犯人だと分かっているだろうに、無罪にするのが仕事です。
裁判とは一体なんなのか、真実は一体なんなのかを考えさせられます。
この番組ではなく昔見た別のO.J・シンプソン特集では、無罪を勝ち取った後に自分が本当は犯人である事をほのめかしていた発言シーンがあったり、シンプソンの手が入らなかった革手袋も同サイズの新品だったら手が入ったなどもありましたので、犯人だったことは明白なんですけどね。
シンプソンが何も事件を起こしていなければ、ビルズの英雄として誇らしい人生を送っていたと思うと、悔やまれます。
みなさんもこの「しくじり」を胸に、日々謙虚に生きてください。
完
超大作の記事ありがとうございました。
OJ懐かしいですね。当時NFLの名選手にして映画にも出演するなどのスーパースターが起こした大事件として大騒ぎになりました。
トラックで逃げるOJを様々な放送局がヘリコプターから撮影した映像がいたるところで放送されていました。
当時シャピロ率いるドリームチームの弁護士軍団がどうやってOJを弁護するのかが話題となっていましたが;
法廷でシャピロが陪審員や裁判官に
「皆さん、被告の生まれ育った環境や彼がカレッジやNFLで残した輝かしい功績をよく思い起こしてください。
彼が受けるべき罰則は第一級殺人による懲役刑ではなく、アンネセサリーラフネスの15ヤードの罰退です」
と弁護した。
というのが私のお気に入りのジョークでした。
このころから(私の記憶ではカウボーイズのWRにしてオリンピック選手のボブヘイズの麻薬不法所持を皮切りに)NFLから殺人や傷害、麻薬不法所持等の犯罪者がどんどん出てくるようになってしまいましたね。
Namath時代からのあきらめの悪いファンさん>
ありがとうございます。当時の事を知っているとは貴重な体験ですね。
殺人しておいて15yd罰退とか、今だと批判殺到しそうなジョークです。
未だに毎年、交通事故や麻薬所持など絶えませんが、人命や選手生命にかかわる事故だけは、勘弁してほしいところです。