5)最大の山場、逆転裁判編

シンプソンの刑事裁判はなんと全米中継。アメリカって凄いね。

 

検察がまず提出したのは、数々の物的証拠。何よりも血痕だった。

 

殺害現場、車、そして家の裏で見つかった革手袋からは、シンプソンと殺害されたニコールとゴールドマンの血痕が見つかる。

寝室で見つかった靴下からもニコールの血痕を発見。

 

すべての血痕はDNA型鑑定による確実な証拠であった!

 

 

さらに検察は現場に残された足跡から、靴は「ブルーノ・マリ」という高級ブランドであり、サイズは30cmと判明。

それはシンプソンの靴のサイズと同じであった。

 

靴自体は発見されていないものの、この靴を販売しているのは全米で40店舗しかなく、その1店舗はシンプソンがよく行くデパートだったことが判明。

 

 

犯行動機としては、妻ニコールへの嫉妬。

離婚後も終わらない度重なるDVからも分かるように、シンプソンは自分のものに出来ないニコールを誰にも取られたくないので、ニコールの家にやってきたロバートを殺害したと、検察は発表。

 

他の容疑者を立てるにしても、多すぎる物的証拠から、もうシンプソンしか犯人がいないのだ。

 

しかし、お金持ちのシンプソンは・・

全米最強の弁護士15人を集めて対抗!
!∑(゜ Д゜)

 

詳細はここでは割愛するが、弁護士の中には”マイケル・ジャクソン” や”マイク・タイソン”など名だたる有名人の裁判を行ってきた人物もおり、扱った依頼は歴史を変えてきたレベルのまさに全米弁護士アベンジャーズなのだ!

 

「いやいや、最強だろうが人数いようが関係ないでしょ。逆転裁判でもムリムリ。」

と、普通は思えるのだが裁判は思わぬ方向へ。

 

 

この裁判は事件そのもの以前に、まずどこで裁判をするかが大きな争点となっていた。

かつて白人警官が多数で黒人に暴行を働いた映像があったにも関わらず、白人が全員無罪となった事件があり、その原因は白人が多く住む地区で陪審員が全員白人だったから。

 

この評決に黒人住民の不満が爆発し、大暴動に発展したのだった。

これがいわゆる「ロス暴動」であり、ロスが無法地帯となり、鎮圧に6日もかかって60人以上もの死者を出した大事件であった。

 

 

今回の事件が起こったのは白人が多いサンタモニタだったが、またロス暴動の二の舞を避けるべく検察は黒人の多いダウンタウンで裁判を行う事にしたのだ。

 

裁判長も人種問題を考慮して、日系人の”ランス・イトウ”を適用

 

つまり、検察側としてはアウェイでも、これだけ証拠があれば有罪を勝ち取れると、かなりの自信を持っていたのだ。

 

しかし、相手は最高弁護士軍団。

真実など関係なく、勝つためならどんな作戦も使うのだ。

 

まず12人の無作為に選ばれる陪審員に対して「忌避権(きひけん)」という、指定した陪審員を指定して外せる制度を使い、ほぼ全員が黒人になるまで白人に対して許される限り忌避権を使ったのだ。

 

つまり、デリヘルでブスが来たら何度でもチェンジするような作戦なのだ。
(知らんけど)

 

 

これに対して検察も逆に忌避権で黒人を排除作戦。

しかし、この事件にはDVも絡んでおり、女性ならば人種関係なく厳しい判決を下してくれるだろうという考えで、女性の割合が多くなった時点で総入れ替えせずに終了したのだ。

 

ということで、12人の陪審員のうち9人が黒人という偏った編成で裁判がスタート。

 

 

自分らに有利な土俵を作り、ここからが弁護士軍団の本領発揮。まさかの方法で検察を証拠を次々と潰すのだ。

 

 

狙いはズバリ、警察のずさんな捜査体制。

 

1)現場で血液鑑定師は1人だけで、主な作業はアシスタント。

→当時、採取した血液が入った容器を入れていたのが熱を通しやすい黒いビニール袋であり、そんな血液で正しい鑑定ができるのか?と言及。

 

2)取り調べでシンプソンから採取した血液は8ccだったにも関わらず、検査時は6.5ccに減っていた。

さらに採取した血液はO.J・シンプソンの自宅にいた血液鑑定士にわざわざ渡しに行った。

→採取した血液で、偽の証拠をでっちあげた可能性を言及。

 

3)殺害現場で捜査にあたった”マーク・ファーマン刑事”は、人種差別主義者だった。

→過去に彼が雑誌で受けたインタビューの録音テープには、ひどい黒人差別の発言があり、黒人陪審員の印象が一気に悪くなる。

 

4)ファーマン刑事の現場写真を見ると、かれは手袋もしておらず、靴にカバーもない。

→この格好で現場を歩き回ったとしたら、現場の足跡などは証拠になるのか?

 

5)さらに、革手袋などファーマンが黒人であるシンプソンを陥れるために証拠を捏造したのではないかと、言及

 

6)加えて、証拠の革手袋をその場でシンプソンが手にハメると、サイズが小さいのだ。

↑この映像だけ見た事がある人もいるでしょう。そのぐらい裁判では評決を左右する印象的なシーンだったのだ。

 

 

7)極めつけは弁護士団はファーマンへ尋問攻め。ファーマンは何を聞かれても「黙秘権を行使します」の一点張りで反論せず。

おいおい、どういうことやねん。。
(゚ω゚;)

 

こうなったら風向きは一気に弁護士団へ。

 

世間の目はO.J・シンプソンの殺人事件の真実よりも、白人vs黒人の人種差別へシフトしてしまったのだ。

 

1年に及ぶ裁判の結果、O.J・シンプソンは・・

無罪!ヘ(゜∀゜*)ノ

アメリカの法律では一度無罪になると同じ罪で裁判はできない。

つまり、シンプソンは永遠の無罪を最強弁護士軍団の力で勝ち取ったのだ!

 

 

黒人達はスターの無罪に歓喜するも、白人からは不服の声しかない。

これこそ全米を2分した世紀の裁判であったのだ。

 

 

この判決に、殺害されたロナルド・ゴールドマンの遺族は黙っちゃおらず、反撃開始。

 

そう、このO.J・シンプソン事件はまだまだ続くのだ!

 

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