長い間、ありがとうございました
唯一無二の大ヒットアメリカンフットボールマンガ、「アイシールド21」が今週(2009年6月15日(月))発売の週間少年ジャンプにて最終回を迎えました。
ワタシは25,6巻あたりまでまとめて読んで、後はジャンプをちょくちょく立ち読みしてましたが、小学生は当たり前かつ、大人でもルールをほとんど誰も知らない難解な題材に挑み、それをアニメ化するほどにまでに引き上げた手腕は正直スゴイと思います。
今回は最終回を迎えた記念に、ワタシなりのまとめです。
(ちなみに「検証アイシールド21」はまだ続きます)
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アメリカンフットボールという難解な競技を描く
サッカーマンガや野球マンガは数しれど、アメリカンフットボールを題材にしたマンガで約7年にも渡る連載を続けた事が偉業です。日本人にとって全然なじみが無く、素人が理解不能な難解なスポーツをよくここまで描きました。
その上手さは、スピード感や迫力がある画力もありますが、とにかく序盤は複雑なルールは無視してキャラクターの個性をひたすらアメフトに結びつけた事です。
・セナ→いじめられっ子。パシリで足の速さと走行ルートを見極める能力が身についた。=RB
・モンタ→野球でボールの捕球だけが上手い。そのため野球ではレギュラーになれない=WR
・蛭魔(ヒルマ)→狡猾で駆け引きが得意。しかしアメフトへの執着は誰にも負けず優れたリーダーシップを持つ=QB
・栗田(クリタ)→巨漢とパワーだけがとりえ=C
という感じで序盤は各キャラクターへ感情移入させる事を徹底的に行うことで、ルールを知らなくても読者は引きつけられます。そして試合では各ポジションに脚光をあてて活躍させます。
太陽スフィンクス戦→ライン、西部ワイルドガンマンズ戦→キッカー、盤戸スパイダーズ戦→スペシャルチームとリードブロッカー(敵ですが)などなど、こうやって各ポジションの重要性やルールの説明を小出しで行い、読み続けて行くとアメフトの競技性が理解できてしまいます。
あと、少年マンガならではの超人的な能力もありますが、それを抑えつつ実際のアメフトの戦略を全面に押し出すことや常に自分よりレベルが上の強敵に喰らいついて戦う泥臭さが人気の理由だったと思います。
序盤に伏線を張りまくって、関東大会編
そして、関東大会編に入るとルール説明は終了し、これまで伏線を張っていた天才”金剛阿含”の謎であった能力や、雪光の参戦、ライバルである進との対決で物語はヒートアップします。
そして決勝のクリスマスボウルでこの漫画のタイトルでもある最大の伏線、「アイシールド21」と戦います。
ワタシ的に残念なのが、決勝をもっと丁寧に描いて欲しかった事です。
全国から集められたエリート軍団なので、終盤まで歯がたたないというのは分かりますが、これまでの総決算なので、キャラクター全員にスポットを当てて、ライバル達と特訓した成果をジワリジワリと出して行くような展開を期待していました。
あと鷹のジャンプ力が超人的すぎたのもイタイですし、全国最強チームのQBが女性という意外すぎる面白い設定をもっと生かして欲しかったですね。
そして最後は世界編ですが、設定もあやふやで超人的スキルに頼るような内容で作者にこれまでの力を感じませんでした。最後も中途半端で、これがドラゴンボールや幽々白書を追い込んだムリヤリ連載を続けさせるジャンプ特有の圧力かと察しました(*_*)。
アメリカンフットボール=個性
ワタシがアメフトというスポーツが好きな理由とアイシールド21で主張している事がマッチしているので、この漫画に好感を持ちました。
それは「別に万能で無くても良い」という事です。野球やサッカーは全ての選手が攻撃と守備を行うので、全選手は普通より足が速くてはならない、体力が無くてはならない、肩が無くてはならない、など何かの能力が1つでも一定レベルより欠落するとレギュラーにはなれません。
しかし、アメリカンフットボールは「足は遅いが体がデカイ」、「背は低いが捕まらない」など各能力に突出したスペシャリストがチームを組んで戦う競技です。ハドルの輪もデカイ選手と小さい選手でデコボコになってます。
キックしかしないパンターですら、キック一発で相手を地獄のフチに追い込みます。
これは社会でも当てはまる事でだと思います。へたな万能人間よりも一つ突出した能力を生かせれば、それは誰よりも強いのです。
印象的なのが天才”金剛阿含”が「自分が22人いるチームがドリームチーム」と主張するのに対して蛭魔は「同じコマが22枚のチームほど、ぶっ殺しやすいカモだ」というセリフです。
ワタシも一般人よりかなり不出来な人間ですが、自分のできる事はアメフトのポジションの一つだと思い込むとヘコまなくて済みます(*_*)。
勝手にランキング
最終回という事で印象深い試合をワタシなりにランキングしました。
1位:vs神龍寺ナーガ戦
関東大会1回戦で、物語序盤から伏線を張ってきた最強のキャラ”金剛阿含”のチームといきなり対戦するハメになるという、当時としては予想外すぎる衝撃的な展開。
予選と異なる関東最強のレベルに全く歯がたたず前半で0-32という大差をつけられ、デビルバッツは敗戦ムードに追い込まれます。
しかし、ヒル魔の「試合を諦めた」セリフは実は暗黙の奇策を実行するサインであり、全員がそれに気づいたオンサイドキックの成功や、ストーリー序盤から運動音痴のダメ人間として試合に全く出なかった”雪光”が隠し玉としての能力が明かされます。最後はトリックプレーで同点に追いついて、2ポイント狙いがギリギリ成功して勝利する内容でした。
モンタが阿含に捕まって一度試合終了となった時はマジで「来年、リベンジするのか?」と思いましたね。
2位:vs西部ワイルドガンマンズ戦
アイシールド21はチーム名とチームの特徴が直結しています。その代表が西部ワイルドガンマンズです。
作戦もショットガン体系を好み、選手もQBが早撃ち”キッド”、WRにパスルートを列車がレールの上を走るように忠実に守る重機関車の”鉄馬”、RBにロデオドライブの”甲斐谷 陸”と西部劇そのまんまです。(というか監督のカッコがそのまんま)。
単行本の表紙にキッドの巻が2回あり、作者もキッドとガンマンズお気に入りなのでしょう。
試合内容は、タレント揃いのガンマンズに泥門デビルバッツが窮地に追い込まれるも、ストーリー序盤から登場していたものの、ある都合でアメフトを辞めていた キッカーの武蔵が復帰し、その超絶のキック力で試合を挽回するという内容。
JETSもかつて、試合開始直後にキッカーが負傷して キッカー不在で戦うハメになり大苦戦した事が思い出されます。キッカーって本当にに大事です。
3位:vs盤戸スパイダーズ
関東大会出場を賭けた3位決定戦の対戦相手はガクト似で「ホンモノのアイシールド21」を名乗る東京MVPの赤羽隼人が率いる播戸スパイダーズ。
デビルバッツの自称天才のTE 瀧 は、自分を「天才」だと思い込むことで これまで自身が成り立っていたにも関わらず、本物の天才である赤羽には全く適わないことで「自分は凡人」だと言う事を認めてしまい、 ショックを受けます。
しかし、試合中に瀧は仲間のために自分を奮い立たせて立ち直り、唯一の特技である体の柔らかさで赤羽を封じてデビルバッツを逆転勝利に導きます。
試合ラストのセナがリターンTDを決めなければ負けるシーンでは、デビルバッツのメンバーは奮闘する瀧を見て「アホに気づかされた」と言い、「ブロックとは相手を押すことでは無くて、相手とボールの間に体を入れ続ける」極意を瀧から学ぶことで、これまで苦戦し続けた敵のテクニックを攻略しブロックで勝利への走路を作るところが感動を呼びます。
総評
ということで、なんかダラダラ長い記事になりましたが、アイシールド21はアメフトの認知度UPに大きく貢献し、アメフト業界にに与えた功績は非常に大きいと思います。
最終回では大学に進学しましたので、キン肉マンやキャンプテン翼みたいに他誌に移ってでも、いつか連載を再開して欲しいですね。
そして、これをきっかけにアメフトに興味を持った人はぜひNFLを見て欲しいです。
「事実は小説より奇なり」という言葉があるように、毎シーズンが原作があるかのように個性豊かな選手達が先の読めないドラマが展開させます。そしてアメリカのトップアスリート達の超人的な身体能力はCGかと思ってしまうぐらいスゴイです。
アイシールド21が再開されるまで、
みんなでニューヨーク・ジェッツを応援しよう!!!(←これが真の目的です(*_*))
三沢が死んでアイシールドが終わって私はこれからどーすれば・・・_| ̄|○
しかし、この漫画は正に仰る通り、アメフトを理解する教科書としては実に素晴らしい構成であると同時に、尻すぼみだったかも…(汗
過労死寸前まで社長業の激務に追われて、バックドロップを喰らったらそりゃ命にかかわりますわ。
スター不足で三沢に負担かけている周りの責任でもあるようにも思えます。
で、アイシールドなんですが、何度読み返しても飽きずに読めてしまう素晴らしい作品なんですよね。
合間にボケを入れて笑いを取りつつ、試合のシーンの描写は躍動感とスピード感があり、何より熱い。最近の少年マンガに無いハートの部分を感じます。
超人的能力や必殺技はあるけどもそれに偏りすぎないバランス感覚が絶妙でした。
「キャ○○ン翼」や「○○○の王子様」の作者に爪の垢を飲ませたいぐらいです。
最後の方が尻すぼみ感があるのは作者のせいでなく、ジャンプの編集者側の責任でもある気がします。三沢といい、アイシールド21といい周りのスタッフが優秀でちゃんと支えていないと、当人ばかりに負担と重圧がかかってしまい、ろくな終わり方をしないという教訓にも思えます。
(お!上手くまとまりました(=0=))
本当に残念です
でもアメフトについてとてもよく分かりました
今年はなんとしてでもNFLを見ます!
何にでもいつか終わりがくるものですが、本当に残念です。しかし、最近はヒット作の続編を他誌で連載する事も多くありますので、アイシールドもそれに期待したいです。
アイシールド21でルールを知ったとしても、現実のNFLとマンガとでは選手が全員外人であるなど、感情移入の部分やとっつき難い部分が多々あるかと思います。
しかし、アイシールドとはまた別次元の面白さとビッグプレーの迫力にすぐ虜になります。
とにかく、理由は何でもいいので好きなチームを見つけてシーズン開幕までに徹底的に知ってみるのがハマる近道かと思います。
確かに外人ばっかりであまりファンになれないです
好きなチームもいまいち^^;
我ながらイマイチなアドバイスでした(^_^;)。
私の場合は過去にファミコンでおおまかなルール覚えていて、たまたまCSでNFLを見たらボールを持ってスピンやステップでガンガン相手を抜くRBの華麗さや、相手の体が折れ曲がって吹っ飛ぶくらいタックルするLBを目の当たりにして、「なんちゅうスポーツだ!!」って驚愕しましたね。
それをきっかけに見続けてると、華麗さ+暴力、そして作戦や駆け引き、体格や個性豊かなメンツが一丸となって戦う姿など、他のスポーツに無いもの多さに魅かれた気がします。
結局は理屈は抜きで、好きになれるどうかだと思います(*_*)。
>スター不足で三沢に負担かけている周りの責任
ノアは若手不在といわれてますけれど、結局プロレスファンが保守的過ぎるのが一番の問題なんですよね。
新日だって、長州や藤波を売り出したけど結局猪木には勝ててないワケで(滝汗
ノアなんかは三沢の他に小橋や秋山もいるし、若手も伸びてきているんですけど、ファンの方が贔屓を移そうとしないってのがいつまでも三沢が頑張んなきゃいけない原因だったと思います。
何か本題からズレつつありますが・・・(^_^;)。ワタシはWWEを見ていて(こっちも最近スター不足)日本のプロレスには少々疎いです。
しかし、昔はプロレスってゴールデンタイムにやっていたのに深夜に移されて、それも打ち切りになる現状はヒドイですね。これは総合などで、格闘技の裾野が広がったせいもありますが、完全に経営戦略でも失敗している感があります。変な団体が乱立したり、よく分からないマニアックな世界になりつつありますね。
アメリカのWWEはスターの売り出しや戦略で成功して、未だゴールデンタイムに週3回以上を生放送する怪物番組になっていますし、NFLも実に綿密な経営戦略を立てて世界中にファンを増やしています。
選手や内容も重要ですが、優秀な経営者もいて初めて成功するので、スポーツビジネスって本当に難しい世界です。
あと「プロレスファンは経歴がすごく長いか極端に短い人間が大部分で真ん中がいない」となにかのコラムで読みました。プロレス全盛期でファンになったファン暦が長い人が多いので、「ファンの方が贔屓を移そうとしない」という事でずっと三沢が出つつ続けるしか団体を維持できなかった部分もあるんでしょうね。
命を賭けてまで業界のために尽くした三沢選手のご冥福を心よりお祈りします。
確かに本題からずれたので元に戻すと、
「客に売れる商品を作るプロ」
と、
「質のいい商品を作るプロ」
はベツモノだ、という事で、多分連載漫画の編集者は、前者のタイプだ、という事ですね。
NFLなんかを見てると、これを両立しているなと感じますが、どうも日本人はこういうの苦手っぽい気がします。
アイシールド何度も読んでるので感想を求めて辿り着きました。
2009年あたりの記事なんですね、そこからモバイルQBが台頭して、そのためにラインにもかなりスピードを求められるようになった……みたいな時代の流れは、やはりちょっと複雑でしょうか?自分は最近NFLを見始めたので、マホームズに引きまくってますが昔から見てる人はどうなのかな……なんて思ったりです。
それにしてもJETSファンとは業が深いですね……w