恐ろしく変化
[※この記事は、過去記事「【NFL2018:ルール】キャッチングとヘルメットヒットのルール改正」にキックオフと国家斉唱時のルール変更を加えたものです。]
オーナーによるミーティングにより、またもルール改正が入ります。
その中には近年、リプレイによる見直しで判定が覆り、物議を醸しだしたキャッチングに関する事も含まれております。
[SPONSORED LINK]
キャッチの定義を簡略化
近年、問題となっているキャッチングに関する定義の問題ですが、Youtubeに動画としてまとめられました。
キャッチの3つの定義とは、以下になります。
- Control of the ball. (ボールをコントロールしている)
- Two feet down or another body part. (両足の着地、または他の体の部分が地面に着地)
- A football move such as: (以下のフットボールの動作を行う)
» A third step; (3歩目の着地)
» Reaching/extending for the line-to-gain;(ゲインのために伸ばす動作)
» Or the ability to perform such an act.(または、これらを行う動作を実行する能力があるか)
以前のルールと違うのは「倒れこみながらのキャッチ」の動作が削除された事です。
動画の32秒から始まる2015年1月のカウボーイズvsパッカーズ戦でのWR”デズ・ブライアント”のレシーブはパス失敗になりましたが、新ルールだとエンドゾーン手前でのダウンとなります。
2017年12月のペイトリオッツvsスティーラーズの試合でのTE”ジェシー・ジェームズ”のTDが取り消しになったケースに関しては、新ルールではTDが認められます。
関連記事:
この見直しにはオーナー32名が満場一致で、結局は両ケースとも審判の初見が正しかったことになります。
ヘルメットヒットのルールを拡大
次の変更はD#にとって相当不利になるであろう変更。
2018年シーズンからは、「いかなるプレーであってもヘルメットの頭部を向けて相手に接触した選手は反則」となり、15ydの罰退かヒットの深刻度によって退場させられるケースもあります。
これに関してNFLスポークスマンである”ブライアン・マッケイ”氏は「これは大きな変化だ。これには必要条件がほとんどなく、単に接触をする時に頭を下げて、相手と接触したらファウルだ」とコメントしております。
事の詳細はNFL JAPAN でも取り上げられており、個人的にこのルールが一番2018シーズンでの勝敗を左右するものになると思います。
NFLがヘルメットヒットルールを拡大、ターゲティングルールにも着手
試合時間終了後のPATの廃止
残り時間0のTDで勝敗が決した場合のエクストラポイントが廃止になりました。
2017-2018シーズン、ディヴィジョナルプレーオフの セインツvsバイキングス戦での劇的な逆転勝利の後、試合が正式に終了していないにも関わらずメディアや関係者がフィールドになだれ込み、混乱事したことから、無意味なエクストラポイントの廃止の運びとなりました。
関連記事:
(2018/5/29追記)キックオフのルールが大幅に変更
文章で説明するには難しい部分があるので、まず公式動画を見てください。
Following today’s vote at the @NFL Spring League Meetings, here’s everything you need to know about the new kickoff rules for the upcoming 2018 season. The rule will be reevaluated next offseason. pic.twitter.com/YubLyMBR4g
— NFL Football Operations (@NFLFootballOps) 2018年5月22日
解説すると、
- キックオフ時にキッカー以外の選手は中央(ボール)からに左右に5人ずつセットする。
→以前は左右どちらかに4人以上セットすればOKだったので、右4人左6人と片側に選手を多く配置することが出来ましたが、これを禁止しました。
かつフィールドのNoが書いているを挟んで2人ずつ選手を置いて、とにかく選手が固まる事を禁止します。
- キック側の選手はキック開始地点から1yd以上離れた所にラインアップできない。
→以前は通常ボールを置く自陣35yd地点から5yd後ろにセットして助走をつけて突っ込めましたが、助走ができなくなり強烈なヒットが減ります。
- 一方、レシーブする側はセットできる制限ラインから15yd以内に8人を置かなくてはならない。
→これも大勢が助走してブロックすることを防止するためです。言い換えれば最後尾には3人しか置けません。
- レシーブ側がボールに接触する、またはボールがフィールドに落ちるまでキック側は制限ライン(通常は45ydライン)を超えてはいけなくなります。またキックする位置から15yd以内(通常キック側自陣35yd~50yd)でブロックは禁止です。
→これに関しては動画の方が分かりやすいです。
- ウェッジブロック(2人以上の選手が寄り添って大きな壁を作る)が完全禁止となりました。以前は3人以上は禁止でしたが、今回の改正で2人でも禁止です。
→2010年シーズンのAFCワイルドカードのコルツvsジェッツにて、ジェッツが逆転勝利に望みを賭けた最後のリターン時に、引退を決めていた名FB”トニー・リチャードソン”と弟子のような存在だったFB”ジョン・コナー”が手をつないでリターナーの前をダッシュする感動的なシーンがありましたが、アレがダメとなります。
(そしてジェッツは逆転勝利w)
これを禁止する理由は、キックが側のSTがウェッジブロックを破壊するために全力で突っ込んでケガするケースが多発するからです。
- エンドゾーンに入った時点でタッチバック。
以前はレシーブ側がエンドゾーン内でボールをレシーブしてからリターンするケースもありましたが、エンドゾーン内に入った時点でボールをレシーブしてニーダウンせずとも自動でタッチバック扱いになります。
タッチバックを匂わせて意表を突いたリターンが不可能になります。
キックオフに関する総評
以前に「キックオフが無くなる説」がありましたが、全力ダッシュでの衝突を避けるための数々の改正により、キックオフは継続となります。
オンサイドキックに関しては、そもそものルールがキックした地点から10yd以上飛ばせばフリーボールなのですが、新ルールではレシーブ側が触るか地面につかないとキック側は制限ラインを越えてはならないので、オンサイドキックはゴロキックばかりになると思われます。
しかしながら、ブロック禁止ゾーンも作る事でオンサイドキックの公平性を保てるのかな?とも思います。いずれにせよ、オンサイドキックの有利不利は現時点で判断が難しいです。
新ルール以下での初めてのオンサイドキックでは、選手みんながワチャワチャするでしょうね。
とにかくSTは練習量が増えそうです。
(2018/5/29追記)国家斉唱時のニーダウン禁止
※当初、記載した解釈が誤っていたので、生沢さんのコラムを引用します。
“コリン・キャパニック”が巻き起こした国家斉唱時のニーダウン問題。これを解決すべく以下のルールが追加されました。
新ルールでは試合前のセレモニーでアメリカ国歌が斉唱される際、選手、コーチおよびチーム関係者は全員がサイドラインに立つことが要求される。ただし、チームがそれを望まない場合には国歌斉唱終了までロッカールームにとどまることが認められる。
サイドラインに立つかロッカールームにとどまるかはチームに決定権が委ねられる。1人でもチームで決定したポリシーに従わなかった場合はチームがNFLから罰金を受けることになる。また、チームがポリシー違反を犯した選手に個別に罰金を科すことができる。
総評
ケガを減らしたい最近の傾向を一層進めるルール改正となりましたが、頭を下げてヘルメットから当たると全部反則になる改正が、かなり勝敗を左右するでしょう。
キャッチの定義の簡略化は、レシーブ成功の判定がレビューにより大した証拠がないのに、判定が覆る不満を払拭してくれると信じています。
なんせ、未だに去年のペイトリオッツ戦でのジェッツのTDの判定が、タッチバックになってターンオーバーになるという悪夢を忘れられないので。
生沢さんのコラムを読む限りでは国家斉唱時に整列するかロッカールームに引きこもるかはチームに選択権があるようですね。で、一人でもその選択に反したらチームに罰金が課せられるとのことで不服な選手だけが引きこもるわけにはいかないようです。
通りすがりのPITファンさん>
あれ、そうでしたか。見直して修正します。