現存するトリックフォーメーション

“アイシールド21″関東大会決勝戦で使用された珍フォーメーション「ロンリーセンター」。
QBを守るべきラインがその役目を放棄して、QBと離れた場所にセットする一見すると意味不明なフォーメーションですが、NFLでも使用されます。

[2015/10/20追記:2015シーズンWeek06 を追加]

[2019/12/05追記:2019シーズンWeek13 を追加]

[2023/01/23追記:2022シーズン ディビジョナルプレーオフ を追加]

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実用的ではない奇策、ロンリーセンター

マンガの中では最強のライン”峨王”と”栗田”を一騎打ちにさせ、1対1ならロングパス、他のラインがQB”蛭魔”を潰しにかかるとセナにパスする事で機能していましたが、実際には見たまんま非常にリスクを背負ったフォーメーションです。

そのような陣形がなぜ実際にも使用されているのかというと、その目的はズバリ「相手を混乱させる」の一語につきます。

 

NFLで使用されたのが、2007年プレイオフ”タイタンズ”vs”チャージャーズ”。

“タイタンズ”はギリギリでプレイオフに残り満身創痍に加えて、QB”ビンス・ヤング”はシーズン最終戦で足をケガして自慢の俊足を封じられた非常に不利な状況。

一方万全のチャージャーズ(後でK”ネイト・ケディング”は骨折しながら5試合キックしていた事が判明したのですが・・・)に対抗するために奇策に走り、一発目の攻撃で”ロンリーセンター”を出しました。

結果は以下の動画をご覧ください。

小細工がチャージャーズに通用する訳も無く、見事に失敗。
そして、試合もタイタンズが負けました。
[参考:Wild Card4:タイタンズ vs チャージャーズ]

奇策の失敗はカッコ悪いものです。(=_=;)

2015シーズン Week06:ペイトリオッツvsコルツ

現地時間2015年10月18日に行われたサンデーナイトゲーム、ペイトリオッツvsコルツ にて第3Q残り1分14秒、自陣37ヤードで4th-3ydからコルツはパント・フォーメーションを取るも、オフェンスラインの大半が右側にセット。

中央に残ったWR”グリフ・ウェイレン”からスナップを受けたS”コルト・アンダー ソン”はボールを持った瞬間にペイトリオッツD#にタックルされ1ヤードロスとなった。これで攻撃権を得たペイトリオッツはそのドライブをTDに結びつ けた。

 

この謎のプレーに関してコルツのHC”チャック・パガーノ”は、「アイデアとしては第4ダウン残り3ヤード以下の時点で、アライメントのミスを誘うような配置をし、選手を入れ替えたりしているうちに(相手選手が)フィールドに12人いる状況を作ることを狙った」と説明。しかし、「我々は正しいラインナッ プができておらず、さらにコミュニケーションミスでスナップをしてしまった。この責任は私にある」と釈明した。

 

この失策が響き、コルツは34-27で敗北。中途半端な奇策は、恥じるべき珍プレーをNFL史に残すだけの結果となった。

このプレー、もしもすぐにD#に潰されていなければ、どのような展開が待っていたか今となっては知る由もないが、そもそも左へ寄った全員がスクリメージラインに誰も並んでいないので、何かプレーが成功していたとしてもイリーガルフォーメーションの反則でムダに終わるだけであった。

2019シーズン Week13 イーグルス vs ドルフィンズ

ドルフィンズが敵陣1ydでの4thDown。

FGユニットを入れて、無難にFGかと思いきやロンリセンター体型になり、ホルダー役だったP”マット・ハック”がQBの位置へ。

これは混乱させてオフサイドを引き出す作戦かと思いきや、なんとスナップ!!

エンドゾーンへ走りこむK”ジェイソン・サンダース”へTDパスを決め、ドルフィンズはこの試合を31-37で勝利。

 

ハックがパスを投げる瞬間の猟奇的な笑顔も話題となりました。

2022シーズン(2023年) [ディビジョナルプレーオフ:カウボーイズ vs 49ers]

カウボーイズが7点差で残り6秒、最後にラグビープレーでTDを取るために使用。

しかし、最初のフロントパスのレシーブ地点で潰され、何もできずにカウボーイズの敗退が決定。