生ける伝説の光と影
急きょ始まった新コーナー「NFLスーパースター列伝」。NFL史に輝く偉人を紹介するコーナーです。
第1回はニューヨーク・ジェッツの怨敵「ニューイングランド・ペイトリオッツ」の司令塔であるQBながら、その実力と実績は認めざる得ない選手”トム・ブレイディ”です。
普通ならばウィキペディアを見れば済む話ですが、当サイトらしく「闇の部分」も交えて紹介します。
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トム・ブレイディとは?
詳しい事はウィキペディアを見てもらうとして、ここでは簡単に解説。
“トム・ブレイディ”の本名は「トーマス・エドワード・パトリック・ブレイディ・ジュニア(Thomas Edward Patrick Brady Jr)」とかなり長いです。
生年月日は1977年8月3日。
ニューイングランド・ペイトリオッツでの立志
ブレイディは、2000年のNFLドラフトにて、ほぼ底辺の6巡目(全体199位)でニューイングランド・ペイトリオッツに獲得されます。
当時のアナリスト達のブレイディへの評価は「肩が弱い」「足が遅い」「タイトなスパイラルのボールが投げられない」「プレッシャーに弱い」「ラッシュをかわせない」といったもので、ブレイディに興味があったのはペイトリオッツのQBコーチ”ディック・レイバン”だけでした。
ドラフトの翌年2001年のキャンプで、ペイトリオッツHC”ビル・ベリチック”はブレイディを高く評価し、ブレイディは絶対的な先発QB”ドリュー・ブレッドソー”のバックアップに昇格。
そして、2001年シーズンWeek02のジェッツ戦で、QB”ドリュー・ブレッドソー”が”モー・ルイス”のタックルにより重傷を負い、ブレイディに早くも出番が回ってきます。
この試合には負けたものの、次戦のWeek03からブレイディが先発QBとなるやいなやペイトリオッツの快進撃が始まり、2001年シーズンの第36回スーパーボウルにて、最強のオフェンス力を誇るセントルイス・ラムズを倒す番狂わせを起こし、ペイトリオッツを初のスーパーボウル制覇に導きました。
その後、ペイトリオッツにてスーパーボウルに計9回出場し6回制覇(2019年まで)という偉業を達成し、伝説のQB”ジョー・モンタナ”を超えるNFL史上最高の選手になったのです。
タンパベイ・バッカニアーズへ移籍
もはやペイトリオッツに無くてはならない存在のブレイディですが、2020年3月に衝撃の退団を発表しました。
当初は、2019年シーズン途中からオフェンス力が低下し、プレーオフでは格下と思われていたタイタンズに敗れた事で、自身の引き際を決めたのかと思われましたが、引退を否定。
翌日にはタンパベイ・バッカニアーズに移籍するニュースが報じられました。
43歳を迎える2020年。スポーツ選手としては継続するのが難しいと思われる年齢ですが、ここからトム・ブレイディの新たなチャレンジがスタートしました。
ブレイディが移籍した2020年シーズンは、コロナ感染拡大という歴史的事件が発生するもブレイディに影響はありませんでした。
しかし、ブレイディは封鎖されている公園に入って練習しているところを警察に見つかり捕まったり、OC”バイロン・レフトウィッチ”の家に遊びに行った時に驚かそうとこっそり家に入ったら、全くの他人の家で騒動となったり珍事を連発。
しかし、紆余曲折を経てわずか移籍1年目で、長年にわたり低迷していたバッカニアーズをスーパーボウル制覇に導く偉業を成し遂げました。
これでスーパーボウルに通算10回出場し7回制覇(2021年2月現在)という、もはや今後は超える事がないであろう記録を打ち立てます。
これでブレイディを非難してきたファンも黙るかと思いましたが、ブレイディは優勝パレードでビンス・ロンバルディ・トロフィーを河の上で投げて渡すという行為により、また非難を浴びる事になりました。
40日で引退を撤回
2021年シーズン、ブレイディはバッカニアーズで連覇を狙うも、ディビジョナルプレーオフにてラムズに敗北した。
その後、まだプレーオフの最中である1月末にブレイディの引退がマスコミから報じられるも、本人はこれを否定。
しかし、チャンピオンシップが終了した現地時間2022年2月1日の朝に自身のインスタグラムより引退が発表されました。
このシーズンはパス記録3冠を達成しパフォーマンスに衰えもないため、突然の引退には驚きでしかありません。
世界中のマスコミが報道し、選手やファンのみならず各界の著名人からこれまでの偉業をねぎらう声と共に引退を惜しむ声も多くありました。
こうして、ブレイディは22年間も長きにわたるNFLでのキャリアを終えたのでした。
だがしかし・・・引退発表から40日後の現地3月13日夕方に、自身のインスタグラムにて突如引退を撤回!
あまりにも早すぎる復活劇にファンに感動も何もなく、ただのお騒がせ男となったのでした。
チーム不振と離婚
40日で引退を撤回して再びバッカニアーズを率いることになったブレイディでしたが、バッカニアーズのHC”ブルース・エイリアンズ”が引退し、後任としてHCに就任したのはDC”トッド・ボウルズ”。
ボウルズはかつて、ジェッツのHCに就任するやジェッツを低迷させ暗黒時代に落とした、いわくつきのHCでした。
その影響からか、バッカニアーズはランO#が全く機能しなくなりブレイディは大苦戦。
さらに2022年10月31日に、2009年に結婚した”ジゼル・ブンチェン”との離婚を発表。こんな人生のどん底は無かったでしょう。
結果、ブレイディはパス獲得ヤードは4694ydでリーグ3位、かつ、史上初のパス10万yd(プレーオフ含む)という快挙を達成しパフォーマンスは保ったものの、地区全体の弱さに助けられて8勝9敗の負け越しでプレーオフに進出するという、不名誉な事態になりました。
そんなバッカニアーズがプレーオフで良い試合をできるはずもなく、1回戦のワイルドカードプレーオフでカウボーイズに成すすべなく敗北
実質、これがトム・ブレイディの最後の公式戦となりました。
2年連続で引退
そして、去年と全く同じ現地時間2023年2月1日の朝に自身のインスタグラムより引退が発表されました。
詳細は以下の記事をご覧ください
「また引退を撤回するのでは?」と推測されるも、今回はNFLや選手会に引退申請を提出しており、選手への復帰は不可能。
本当に選手引退となりました。
ブレイディの称号「G.O.A.T」とは?
彼は時おりメディアや選手から「G.O.A.T」と称されますが、その意味は「Greatest of all time=全ての時代の中の最高」であり、つまりブレイディが「唯一無二の史上最高の選手」であることを表しています。
ブレイディに負けた者たち、ザ・ブレイディ6(The Brady6)
ブレイディが獲得された2000年のドラフトでは、ブレイディより先に6人のQBが他のチームに獲得されました。
ブレイディより上位なのにブレイディに敗れ去った6人を「ザ・ブレイディ6」と呼ぶドキュメンタリーがESPNにより制作されました。
2人は同地区のライバルとして長年に渡り激闘を繰り広げたのだよ。
(元)嫁はスーパーモデル、ジゼル・ブンチェン(Gisele Bündchen)
ブレイディの奥さんは、世界トップクラスのスーパーモデル”ジゼル・ブンチェン”
米「フォーブス」誌が発表している「世界で最も稼いだモデル」のランキング1位を、2002年から2016年までの間獲得し続けた、まさにトップ中のトップです。
かつては”レオナルド・ディカプリオ”とも交際していたが、2009年の2月にブレイディの極秘挙式を上げて2009年12月に長男を出産。
ブレイディはアメフト界のトップアスリートですが、ブンチェンは全世界レベルのモデル業界のトップであり、その稼ぎはブレイディより上回る、まさにスーパーセレブ婚でした。
夫婦仲は良好であり、ブンチェンがブレイディを心配するあまり、ブレイディがプレー禁止となる「脳震とう」の症状を隠している事をポロリしてしまった事が話題になりました。
(※ブレイディの「脳震とう隠蔽疑惑」は結局、闇に葬られた)
しかし、2023年10月末に離婚し、13年もの結婚生活に終止符が打たれました。
原因に関しては「ブレイディの引退撤回」と言われていますが、実際のところ謎のままです。
ジョークやSNSにも理解がある
「トップアスリートはマジメでITには疎い」というのは昔の話。ブレイディはSNSも活用し、ファンサービスも大事にしています。
特にインスタグラムでは、自身のトレーニングのみならず家族の写真や、旅行、ジョークなどもUPし積極的に活用しています。
詳しくは以下の記事を見てください。
さらにエゲつない下ネタ映画「テッド2」では、ブレイディ本人役で出演。
ブレイディの優れた遺伝子をゲットするため、ブレイディの精子欲しさに寝込みを襲うテッド達を撃退するという、1エピソードをまるごと使うぐらい出演しています。
イベントで来日した事もある
アンダーアーマーのイベントで来日した時には平日かつ、告知も少ないにも関わらず多くのファンが会場につめかけました。
その詳細は以下の記事に掲載しています。
何が凄いの?トム・ブレイディ?
史上最強のQBトム・ブレイディ。フィールド上では一体、何が凄いのかざっくりと説明しましょう。
全てのパスが高精度
史上最強のQBなのでパスの精度が高いのは当然。
ロングパスはレシーバーの走り込む先にピンポイントで落とし、ショートパスもレシーバーがスピードの乗った状態の先に投げ込むので、ラン・アフター・キャッチが出やすいのです。かつ、「ブレイディのパスは取りやすい」という話もあり、スパイラル具合も申し分ないのでしょう。
加えて純粋なポケットパサーですが、走りながら投げても精度が高いのも必見。
基本的にシーズンが進むにつれてレシーバーとの連携が取れてきて精度があがり、シンクロ率が100%になると手の付けらない状態になります。
悪天候でもその日のコンディションに合わせてパスを変えれるのも強みでしょう。
相手のディフェンスを読む
一流のQBは、入念なフィルムスタディから相手ディフェンスの配置や動きを見て、どのような布陣を敷いているのかを読むのは当然。
ブレイディはさらに、相手ディフェンスのちょっとした綻びから勝負どころを読んでノーハドルを連発してテンポアップし、ディフェンスを混乱させ一気にTDドライブを決めます。
まぁ、この辺は素人の私でもをブレイディが仕掛ける空気を察知できますw。
#nfljapan 敵陣からo#与えた。こりゃ一気に点差をつけにくるぞ。
— JETS狂のつぶやき (@jetskyou) January 14, 2018
また、タイムコントロールにも秀でており、第4Q開始時にリードしている試合は勝率が高く、時間を調整しながらジワジワとトドメを刺す事も得意としています。
絶対に諦めない優れたリーダーシップ
勝利のためにはこれが一番重要。ブレイディのアメリカンフットボールに対するストイックな姿勢は有名です。
練習や対戦相手の研究のみならず私生活も気を使い、食事に関してはレシピ本が出るぐらいこってます。
また、睡眠時間も大事にしており、アンダーアーマーからブレイディのパジャマが発売されましたw。
その勝利への渇望するストイックな姿勢はチームに伝染し、それがオフェンスのみならずディフェンスにも伝わる事で、数々の逆転劇を生み出しました。
特にスーパーボウル51では、第3Q途中で3-28の25点ビハインドからの大逆転勝利を起こしました。
普通ならば諦める状況ですが、ペイトリオッツの全員が「ブレイディなら何とかしてくれる」と信じたからの奇跡の逆転勝利だったのでしょう。
加えて、自ら身を犠牲にして突っ込むスニークもブレイディの代名詞。勝利への執念が伝わるプレーです。
弱点>足が遅い
万能に見えて唯一の弱点があります。ずばり足が遅いのです。
しかし、足が遅いからこそパサーとして大成したのかもしれません。
イチローに無視されたトム・ブレイディ
全てが称賛できるわけでない。ブレイディの闇。
このブログはペイトリオッツの宿敵であるニューヨーク・ジェッツのファンブログなので、ブレイディを褒めてばかりもいられません。
ブレイディの栄光の裏に、数々の不正疑惑があるのです。
スパイゲート事件
トム・ブレイディが初めて制した第36回スーパーボウルでは、ペイトリオッツのスパイが禁止とされているラムズの練習を盗撮していた疑いが発覚。
その後、レギュラーシーズンのジェッツ戦ではジェッツディフェンスのサインを盗撮していたスパイが捕まり、NFLが調査に乗り出すもスーパーボウルでの盗撮は明らかにできず、ペイトリオッツのドラフト1巡はく奪と罰金のみで事件の全貌は闇に葬られました。
しかし、事件が風化したと思いきやペイトリオッツと対戦したチームから「ディフェンスの対応力が普通じゃない」というコメントもあり、未だに何か不正を行っている疑惑はあります。
デフレートゲート事件
2014年のAFCチャンピオンシップにて、ペイトリオッツの対戦相手のコルツの選手がインターセプトをしたさいにボールの空気圧が低いことに気づいて報告したことで、ペイトリオッツが用意した試合球は空気圧が規定より低いことが発覚しました。
(※NFLでは試合球を各チームが12個ずつ用意する)
リーグによる調査結果は、ペイトリオッツの用具係が審判団のボールのチェック後にボールの空気を抜いていたとの事で、これはHC”ビル・ベリチック”およびペイトリオッツのチームとしての指示では無いとしました。
ブレイディは事件発覚後に空気を抜いていた用具係とやりとりしたと思われる携帯を全て処分。明らかな隠蔽工作なのですが、これは後に裁判で逆に「証拠がない」という判決となります。
最終的にブレイディには4試合出場停止処分が下りますが結局、誰の指示だったかに関してはうやむやになり、事件の幕はおりました。
つまり、ブレイディの快進撃は不正の元に成り立っていた疑いを、未だに払拭できていないわけです。
総評
なにわともあれ今後、NFL史にこれ以上の逸材は出てこないかもしれない圧倒的な実績を誇るトム・ブレイディ。
彼が一体、何歳までフットボールを続けるのは定かではありませんが、リアルタイムでブレイディのプレーを見ていることは、かなり貴重な時間を過ごしている事に間違いはありません。
改めて見ると話題に事欠かない選手ですよねぇ。妻ジゼルについては、第46回スーパーボール後の「自分の投げたボールを自分で取るなんて、そんなこと同時にできるわけないでしょ」という発言が印象深いです。後に、マリオタがその奇跡を成し遂げたとき、真っ先にその発言を思い出しましたよ。(が、次の試合で当のブレイディに粉砕されるという…。)
きんたろーさん>
ブレイディのみならず、NFLのスターは実に個性豊かですね。
次はサンチェスにでもしますかw。彼は1分間に21点取られるという出来るわけない奇跡を起こしました。
ご無沙汰しております。
そう言えばモー・ライスと一緒に写真を撮ってもらったことがありますわ。
1999年、キーション・ジョンソンらと来日した時の話です。
それはさておき、
「リアルタイムでブレイディのプレーを見ていることは、かなり貴重な時間を過ごしている事に間違いはありません。」
と言うことには、大いに賛同します。
通りすがりのMAJIK MIRRORさん>
いつかはブレイディも引退する時が来て、その時になってからリアルタイムでプレーを見ていたことを懐かしく思うのでしょうね。
WWEでいうと、ストーンコールドやザ・ロックのレスリングをリアルタイムで見れていた以上に貴重な時間です。
僕はマイアミでトムブレイディの試合を生で観たのは一生の宝です。
ヨコーさん>
生ブレイディの試合はうらやましいですね。私も衣一生に一度は現地で見てみたいです。
(なぜかWWEは現地で見てるのに)
いつマッデンがカラテの話をはじめるのかドキドキしながら読みました。
匿名さん>
元ネタの猪木も本当に本人が語っていたのか怪しいものですが、こちらのマッデンは完全に嘘です。
どうしよう、普通に面白いです>< 一気に読んじゃいました!
普通の感想ですみませんm(_ _)m
高地の馬ファンさん>
このような感想が一番うれしいです。ありがとうございます。
使い古されたネタなので、どこでも書いてるような内容を避けて「プロレス スーパースター列伝」のパロディを入れて仕上げてみました。